あなたには、あなたのよさ(キラリ)がある!
新年度が始まりあっという間に2ヶ月が過ぎました。
日差しも強く、初夏を思わせる日も増えている一方、雨の日も増え、
寒暖差や気圧の差も大きな日も増えており、身体や心のバランスを
保つのに苦労している子もいるのではないでしょうか。
それでも、毎日、学校に通い、毎時間違う学習、自分とは違うたくさ
んの人と一緒に学ぶ中で、様々な軋轢を感じている子も実は多くいる
のではないでしょうか。「今日は学校行きたくないな」「早く家に帰 りたい」と感じているときには、自分の中で様々な身体や心の折り合い
をつけて気持ちを切り替えて学校生活を送っているのでしょう。
私たち大人がそんな子供たちの内なる思いに心を寄せ、子供たち
の健やかな成長を願い、子供たち一人一人へ愛情を注ぎ、心の理解
を深めながら、子供たち自身の心のエネルギーを蓄えさせ、子供たち
の自己肯定感を育んでいくことが大切です。
早稲田大学人間科学部教授菅野純先生は自己肯定感とは、「I am
OK! 今の自分はこれでいいんだ」 という感情だと言っています。
自分の存在には、意味がある、 自分が他人からどう評価されている
かではなく、 自分自身が今の自分に満足できている状態のことと説明
しています。
誰もが皆、自己肯定感をもっています。 ただし、育つ環境で自己肯
定感は当然変化します。 周りの人から無視されたり、否定されたりす
れば自己肯定感は低くなります。 子どもたちが、 自分の長所や短所
も受け入れ 「自分らしさ」 として自分を認めるためには、自分が受け
入れられている経験を積み重ね、 子ども自身が自らの全存在を肯定
していくことで育まれる 「自己肯定感」 が必要なのです。
所沢市では各学校が朝会の時間などに「心のエネルギープロジェクト強化月間」として取り組んでいます。
今月の全校朝会では「Being(自分の存在には意味がある。あなたは、あなたのままでいい)」をテーマに子供たちの学校生活の写真でつくったフォトムービーと絵本を元にしたお話をしました。
後半は『かがやいている「いのちのまつり」』(作:草場一壽)を取り上げ、自分のことが大嫌いな主人公「カー坊」の話をしました。
カー坊は、怒りっぽい自分が大嫌い。自分の顔も、お母さんに反抗的な態度をとってしまう自分も。本当は怒った後にも、「さっきはごめんね」って謝りたいけど、いつもできない自分も。友達との関わりも素直になれずに「あっかんべ~」とかえしてしまう自分も。
そんなある日、横になっていると、自分の中からもう一人のカー坊が現れ
るのです。もう一人のカー坊は、「本当はどうしたかったの?」と本人に問いか
けていきます。
カー坊は、「本当は~できたら」と口にしていきます。
カー坊は「ぼくって本当に嫌なやつなんだ」と話す本人に「そんな風に思って
きたのかわいそう。苦しかっただろう?」と優しく語りかけます。
「だってきみはどうすればいいかちゃんと知ってるじゃないか」
「きみがなりたいなぁって思った子のほうが、 ほんとうのきみなんだよ」
「ほんとうのきみはいつだってキラキラかがやいてる。 でも、思っていることと、ちがうことをしちゃうんだ。いじわるをしたり、ずるをしたり、さぼったり、うそをついたり…。」
「そうすると、本当はそんなことしたいんじゃない。こんな自分 きらいだよ”って、思ってしまうんだよ」
「ほんとうの自分がどうしたいのかなっていつも素直に聞いてごらん。 ほら、自分の心の中をのぞいてごらん...。ほんとうのカー坊がそこにいるよ。」
子供たちの中にも、素直な思いを出せずにいる子がきっと多くいるはず。
本当はどうしたいのか。どうしてそうできないのか、よく話を聴き、訊いてあげることがとっても大切なことだと思うのです。
学校でも、家庭でも、毎日の生活の中で、子供たちが「信頼感・安心感・楽しさ・認められる」体験をたくさん積んでどの子どもにも心のエネルギーを蓄えていき、キラリ輝く瞬間が増えるように、一緒に励ましていきましょう。
終わりに、生活目標について、5年生から話がありました。
「廊下や階段を静かに歩こう」です。